院長コラム
ラ・クリニカは開院18周年を迎えました。これも、何度もご来院頂いてる多くの患者様のおかげと、スタッフ一同、心から感謝をしております。
ラ・クリニカは開院18周年を迎えました。これも、何度もご来院頂いてる多くの患者様のおかげと、スタッフ一同、心から感謝をしております。
私たちは今、分水嶺に立っているのかもしれません。ほんの少しの差で、流れ着く先は大きく違ってきます。パンデミック、戦争、地球温暖化、色々なことで分水嶺に立っているのだと思います。
それがいつになるのか、またそのとき人類が生き残っているのかは分かりませんが、
もし人類が生き残っていたら、その時の人類から今の私たちはどう評価されるのでしょうか。
21世紀初頭に生きた私たち人類はどう評価されるのでしょうか。
賞賛されるのならばいいのですが、「あの頃の人類から崩壊が始まった」と評価されるもしれません。
差別、貧困、戦争、自然・・・色々な意味で分水嶺に立っていると思います。
分水嶺は流れ落ち始めたらもう取り返しはつきません。分水嶺のどちら側を流れ下っていくか、それは私たち、今を生きている人類にしか決められません。
新型コロナの第8波はもう目の前に来ているかもしれません。「またか」と思われる方も多いと思いますが、「敵」がいる限り戦いは続くのです。負ければ悲惨な未来が待っているだけです。
でも今は夏に比べれば新規感染者が少ないので、「マスクをするかしないか」といういわゆる「マスク問題」が聞かれます。ワクチンの接種もあまり進んでいません。
これらの問題の答えを考えるためには、「そもそも何のためにワクチンを接種したり、マスクをするのか」というそもそもに戻って考えてみるといいと思います。
多くの方は、「ウイルスを移されないため」「重症化しないように」「後遺症が出ないように」と答えるかと思います。この三つは「あなた自身を守るため」ですよね?でももう一つ大きな目的があるんです。
世の中にはカラダが弱かったり、病気で新型コロナやインフルエンザに弱い、
でも病気や体質のせいでワクチンが打てない、といういわゆる「弱い人」「弱い立場」の方もいるんです。そういう方が感染を怖がらずに安心して暮らしていけるにはどうしたらいいのか?
それは周りの人が感染しないことですよね。そのためには出来るだけ多くの人がワクチンを接種して、リスクが高いと思ったらマスクをするということですよね。「弱い人」が安心して暮らしてゆける社会を目指さなければいけないと考えます。SDGsとしても人類の目標にされているのです(※)。
もう一度繰り返します。ワクチンやマスクはあなたのためだけではなく、同じ社会に生きている「弱い人」を守る為でもあるのです。
※ SDGs(エス・ディー・ジーズ):2015年に国連で採択された人類の目標です。一言で言えば、色々な格差をなくして、「誰一人取り残さない」社会を目指す、人類の目標です。
1990年代、テレビの国民的な人気ニュースキャスターが、「これでステロイドは最後の最後、ギリギリになるまで使ってはいけない薬だということがよくお分かりになったと思います」と、とテレビで話しました。
翌日から「ステロイドは使わない」と言う患者さんで病院は混乱し、結局、日本のステロイド治療が10年遅れてしまったことは以前書きました。
HPVワクチン(※1)の副反応(※2)も同じ、インフルエンザのタミフルも同じ、新型コロナのワクチンも同じ。いつの時代でもテレビ、マスコミの影響はとても大きいようです。
放送された内容がその後、医学的に間違いであると証明されても、薬に与えられた悪い印象は消えません。
テレビは医学的に間違ったことを放送しても、謝罪も訂正もしません。
医学的に間違った情報に便乗した悪徳な民間療法が、患者さんを標準治療(※3)から遠ざけます。
間違った情報・治療で苦しみ、最終的に死に至ることもあるのは、いつも患者さんです。
外科でも美容外科でも、とんでもない治療を希望する患者さんがいます。理由を聞くと、全員が「スマホで調べた」と言います。
医学的に間違った情報が「簡単に」手に入ってしまう時代になりました。
私達は今でもまだコロナ禍にさらされています。
あなたや、あなたの大切な人を守るために、正しい医学情報を手に入れて、
正しい選択をしてください。
分からなければ医者に聞けばいいのです。そのために医者はいるのです。
(※1)HPVワクチン:子宮頸がんの多くを予防出来るワクチン。やっと再開されました。
2021年4月のコラム「ワクチンとテレビ」を読んでください。
(※2)ワクチンの場合だけ「副作用」ではなく「副反応」というのは日本だけです。
英語ではどちらも「Side Effects」。これもマスコミの影響が大きいです。
(※3)医学的根拠に基づき、その時利用できる最良の治療であることが示された治療。
人はつらいことが続いてもだんだん慣れてきます。傷の痛みですらも慣れてくるように人のカラダは出来ています(※1)。だからつらいこと、痛いことがあっても生きていけるのです。
でも決して慣れてはいけないこともあります。
毎日テレビから戦争の映像が流れてきます。新型コロナのニュースも流れてきます。最初衝撃的だったニュースが、あなたの中で『当たり前の光景』になっていませんか?
しかし、残酷で悲しい戦争は以前として続いていますし、新型コロナ禍だって過ぎ去ったわけでもありません。戦争も新型コロナも多くの命を奪う恐ろしいものです。でもそれらに慣れたり、ましてや忘れてしまうことはもっと恐ろしいことです。
忘れてしまえば、人間は歴史から学ぶことがなくなり、また同じ過ちを繰り返し、さらに多くの犠牲者を出すからです。
『恐怖』は決して心地よいものではありません。でも最初にニュースを見た時にあなたの中に湧き上がってきた恐怖心を忘れないでください。
※1:人間は大けがをした時、脳から、麻薬の何十倍も強い鎮痛ホルモンを出します!
僕が小学校の時のことです。参観日で教室の後ろにはお母さん達が立って授業を見ていました。授業で先生が「戦争に賛成な人はいますか?」とみんなに聞きました。先生は誰も手を上げないと思って質問したのでしょう。
でも僕だけが「は〜い」と元気よく手を上げちゃったのです。「戦争に賛成する子がいるなんて!?」というざわめきが起こり、先生はタジタジ、僕の母は顔から火が出そうだったそうです。
でも僕は、本当に戦争に賛成だったから「賛成」と言ったわけではありません。戦争がいけないということは『言葉や理屈では』99.9%分かっていました。でも残りの0.1%が納得出来ていなかったのです。戦争はいけないんだということを100.0%納得したかったのです。
「・・・でも日本は朝鮮戦争のおかげで発展したでしょ?」などど僕は発言して、授業参観をメチャクチャにしてしまいました。
振り返って考えてみると、なぜ僕が戦争に100.0%反対出来なかったのか。
子供の僕は人を愛するということ、そして愛する人を失う、ということをまだ理解していなかったからだと思います。今は違います。
オリンピックと戦争・・・ユーゴスラビアのサラエボを思い出します・・・