痛み
ラ・クリニカは開院19周年を迎えました。これも、何度もご来院頂いてる多くの患者様のおかげと、スタッフ一同、心から感謝をしております。
ラ・クリニカは開院19周年を迎えました。これも、何度もご来院頂いてる多くの患者様のおかげと、スタッフ一同、心から感謝をしております。
痛いことが好きなんて人はそうそういませんよね。僕も予防接種や歯医者さんなどで痛みに弱いということに関しては誰にも負けない自信があります(^^ゞ
大学を出て外科に入局して半年後から、麻酔科で麻酔の研修をし、麻酔の手技を身につけました。麻酔は麻酔科の医者に任せれば、と思うかもしれません。しかし東京は静岡と違って麻酔科医がいない中規模の病院が多いのです。そのような病院で外科医は自分で麻酔をかけて手術をしたり、整形外科など他の科の麻酔をかけることも多いのです。
麻酔の大きな目的は痛みを和らげることです。ですから麻酔科の部長にまず言われたのは、「痛みについて勉強しなさい」ということでした。そこで医学書はもちろんですが、痛みに関する論文を読みあさりました。その中にこんなことが書いてある生理学の論文がありました。その論文によれば痛みの95%は精神的なものである。神経が痛みとして感じているのは痛みの5%、つまり20分の1だけだということでした。例えば手を切ってケガをして「痛い!」と感じても本当の痛みはその20分の1でその痛みの95%は傷を見たことによる精神的なものだということです!?!?!?もう一つわかりやすい例を挙げれは、背中など見えないところの20㎝の傷の痛みは、手などの目に見える1㎝の傷の痛みと同じだというのです!?いくら背中でも20㎝も切られたら相当痛いだろうからこの論文は???だなと思っていました。
それから数年後、池袋で通り魔事件がありました。犯人が鋭い包丁ですれ違いざまに通行人を斬りつけたのです。その時すれ違いざまに背中を30㎝近くも切られた方がいました。その被害者の方のテレビインビューを聞いて僕はビックリしました。さぞかし痛かっただろうと思っていたのですが「少しヒリヒリした感じで、切られたなんて全く思いませんでした」とインタビューに答えていました!その時僕は初めてその論文が正しかったんだと思いました。それから、痛みに弱い僕は、注射などの時には必ず「本当の痛みはこの20分の1だけなんだ」と自分に言い聞かせています(^_^;)
でも痛みには心の痛みもあります。ただ、心の傷はその大きさも、また痛みの大きさも目には見えません。ですから心の傷、心の痛みには身体の傷以上に気を配り、思いを馳せなければならないと思います。
明日で1年、まだ1年です。東北は静岡から近くはありません。でもそんな遠くにある数え切れないぐらいの心の傷、心の痛みに思いを馳せることを忘れてはいけないと思います。
色々な写真や映像がマスコミから流れました。もちろんすべてが目に焼き付くものでした。
でも僕はこの写真を見た時だけは、久しぶりに目を閉じてしまいました。
昨年のコラムでまだ1ヶ月と書きましたが、まだ1年です。私達もまだまだ頑張らなくてはならないことも忘れてはいけないと思います。