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バックナンバー(2018年版)

2018年01月25日 一番難しかった手術

 夜、布団の中で考えました。外科医として、美容外科医として、今までで一番難しかった手術はどの手術だったのかと。10時間以上かかった手術、一か八かの癌の手術、色々な手術が浮かんできました。でも、自分の気持の中で、一番難しかった手術は、目の不自由な方の美容外科手術であったと思います。

 その方は付き添いの方と一緒に診察室に入ってきました。子供の頃に視力をほとんど失ってしまったそうです。その方は僕に言いました。

 「私は鏡で自分の顔を見ることも出来ません。でも、目が不自由だから仕方ないとは思われたくないのです。手術の結果を自分の目で確認することも出来ません。でも、すべてをお任せしますから、最適な手術をしてください。」

 最初、僕は言葉が出ませんでした。癌の手術だったら癌を取りきる、目を大きくしたいなら目を大きくする手術。どんな手術でも目的は決まっているのです。でもこの患者さんの場合は、目的も全て僕に任せると言うのです。本人には見えないのですから、『誰が見ても』自然でキレイに見られ、しかも「整形美人」にはしない『最少』の手術を選ばなくてはいけません。これが一番難しかったと思います。

 どんな手術をしたかを書くと広告っぽくなってしまうのでナイショですが㊙、2年ぐらい経ってその方からお手紙をもらいました。「その後、出会いがあり、結婚して子供も生まれました」と書かれていました。医者には時として、病を打ち負かせず、悔しさで眠れない夜もあります。しかし、この手紙を読んだ時、医者になってよかったなぁと思いました。

いつもはアバウトな母が、まだ小さかった僕にきつ〜く言いました。「このワンちゃんはお仕事をしているから撫でたりしちゃダメ」と。

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